OB・OGの「今」

医学物理士

五十野 優さん

大阪国際がんセンター
(保健学科12期卒)

2020年3月現在

現在の業務について教えてください。

現在は放射線治療業務に専従しています。その中でも、特に高精度放射線治療である回転型強度変調放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy:VMAT)や定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery:SRS)等の放射線治療計画の立案、放射線治療機が正しく動いているかを管理する業務を主に担当しています。患者さんに直接的に関わる機会は少ないですが、患者さんに適した放射線治療ができるように、日々の業務に励んでいます。

今の仕事を選んだ理由を教えてください。

私が医学物理士という言葉を初めて聞いたのは、在学中の放射線治療学の授業でした。
今から約10年前になりますが、高精度放射線治療に向かう中で、医学物理士は臨床の現場で重要な役割を担うだろうと教えていただきました。「人のためになる仕事がしたい」という思いがあり、放射線治療の道へ進むと決めた中、医学物理士になり、高精度放射線治療に携わることで、患者さんにより良い医療を提供できればと思いました。

現在の就業先を希望した動機を教えてください。

現在の職場である大阪国際がんセンターは日本でも有数の放射線治療実績があり、あらゆる部位に対して高精度放射線治療を積極的に取り入れています。また医師・物理士・技師ともにアグレッシブで、臨床業務の他に研究活動・学会発表・論文執筆等などの多くの場で活躍しています。そうした環境に身を置くことで多くの人から刺激をもらうことができ、自分自身がさらに成長できると考えたためです。

仕事のやりがい・課題・エピソードなどご紹介ください。

放射線治療は医師・技師・医学物理士・看護師が協力し合って患者さんに向き合っている現場です。特に技師の役割は大きく、治療に最適な体位を工夫したり、線量の測定や検証をしたり、患者さんに治療のため放射線を照射することができます。各作業でミスの許されない責任のある業務で、私はそういった責任のある仕事にやりがいを感じています。
また、放射線診断の領域とは異なり、放射線治療は一人の患者さんと最長2ヵ月近く毎日顔を合わせることがあります。一日で終わらない仕事だからこそ、患者さんと信頼関係を築き、治療を乗り越えるためのサポートをすることができます。時折、患者さんから感謝の言葉をいただくことがあります。そうしたところもやりがいを感じる点です。

学生・後輩へメッセージ

私は、診療放射線技師・医学物理士として放射線治療の道に進むことを在学中に決心しました。早くに自分の進路を決めたことでモチベーションも高く、より専門性を高めるような学びが在学中からできたと思います。また、就職後は勉強会への参加や発表等に積極的に取り組む中で、さまざまな人とのつながりができました。その結果、視野が広がり、仕事の幅も広がったと感じています。皆さん、自分のやりたいことを見つけたら、恐れずに進む勇気を持ってもらえればと思います。

プロフィール

  • 2009年
    大阪大学医学部保健学科放射線技術科学専攻 卒業
  • 2011年
    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻前期課程 修了
  • 2011年4月
    NTT西日本大阪病院 放射線治療科で診療放射線技師として勤務
  • 2013年4月
    大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター(旧:大阪府立成人病センター)放射線腫瘍科で診療放射線技師 兼 医学物理士として勤務
  • 2020年3月現在